ほとんどの方は「姑息な」の使い方を、次のように理解しているようです。
- あいつはいつも姑息な手段ばかりの卑怯者だ。
これはもちろん誤りです。正しくは、次のように使います。
- 十分な準備ができていなかったため姑息な手段でしのいだ。
簡単に説明すれば、「姑息な」の意味は、「卑怯な・ずるい」ではなく「一時的な・その場しのぎの」だということです。
ある調査によれば、なんと7割を超える方が誤って理解しているそうです。
それはさておき、この記事は「知らなかった」という方、「そんなの知ってたよ」という方のどちらにとっても意味があるものです。
なぜなら、「どうして「姑息な」の意味を「卑怯な」と思い込む人が多いのか」についての記事だからです。
その理由を考えていたら、とても面白いことに気づきました。それについてお伝えしましょう。
まず、正しい意味の「一時的な」を考えてみましょう。
事故などで負傷した人を救急隊が処置する場合を想像してみてください。
十分な設備が整えられた病院へ搬送するまでの間に応急処置を施す
- それが卑怯でしょうか
- ずるいことでしょうか
「事故現場でとりあえず応急処置はしたから、あとは知らないよ」
そんなことを言ったりしたら問題でしょうが、一時しのぎ自体は悪いことどころか必要不可欠な大切なもののはずです。「卑怯かどうか」以前のお話です。
要するに、「姑息な」の意味を誤って理解してしまう人は、
その場しのぎ👉ごまかし
という発想をしてしまうのです。
正しくは
その場しのぎ👉必要な措置
なのに。
応急処置はその場しのぎとはいえ、必要で大切な措置なのです。なぜなら、ごまかしはダメだといって、事故現場に手術室を持っていくなんて無茶な話ですからね(笑)
といっておきながら気づいてしまいました。
かなり懐かしい話ですが、鈴木亮平さん主演の日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』によれば、今どきは「動く手術室(MERという)」なんて無茶でもなんでもないそうです。
でも、そんなものが普及し始めたら困ることがあります。
近い将来、普通の救急車で駆けつけた救急隊員が卑怯者呼ばわりされる日が来るかもしれません。
「なんでそんなので来るんだよ」
「ちゃんとMERで来てくれよ」
「うちには普通の救急車がふさわしいっていうのか」
なんて具合に文句を言われかねません。
だって、「姑息な」を「卑怯だ」と誤っている人がたくさんいるわけですから。
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