「疲れがとれない原因は副腎が9割」3.副腎疲労の一要因は腸内の炎症

仕事のストレスなどがあると、胃腸の消化力は落ちてしまいます。そこへ過剰な糖質、過剰な肉食、過剰なアルコールの摂取などが加わって、腸内環境が悪化してしまいます。ベテランの社会人だけではなく、新社会人も入社数ヶ月で副腎疲労になるケースがよくあります。

新社会人が副腎疲労になる時は、入社のストレスだけではなく、既に腸の健康状態が悪いということが考えられます。このような人は、学生時代から食生活が悪いことが多いのです。さらに社会人になると、仕事の忙しさも相まって、パンや麺類中心の食生活になりがちです。ストレスや悪い食生活が続くと腸内環境は悪化します。

腸環境の悪化が与える残念な影響

さらに炎症を起こすと、それを抑えるために副腎はコルチゾールを上乗せして作らなければなりません。しかしコルチゾールをたくさん出したとしても、食生活が悪いままだと腸内の炎症は改善されず、進行してリーキーガットを引き起こすことがあります。リーキーガットとは腸の壁に、目に見えないレベルの穴が開いている状態を指します。すると、吸収すべきでないものが腸壁にまで入ってきて、血液に乗って体内を巡ります。これが腸が漏れるという現象です。

異物が入ってきた腸壁では、炎症反応が起こり免疫も過敏な状態になります。そのため、リーキーガットになると、副腎疲労やアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー症状が引き起こされることになります。リーキーガットになると、副腎はさらなる炎症に対処すべく、コルチゾールを24時間分泌し続けることになります。

しかも、それが数年間続くことがほとんどです。その間ずっと副腎は酷使されるわけです。そこへさらなるストレスが重なるといよいよ副腎は疲れ切ってしまい、コルチゾールを出せなくなってしまいます。リーキーガットのような微細なレベルでの腸の炎症は、通常の検査では発見できません。そのため病状が見逃されてしまうことがほとんどで、副腎疲労が悪化する一因となっています。そして「五月病」などとして片付けられ、適切な治療がなされず、さらに病状が重くなってしまうのです。また、「うつ病」とか「適応障害」などと誤診され、間違った治療が行われるケースもあります。

腸内環境を整える

副腎疲労をなくしたければ、腸の環境を整えることが重要です。では、具体的に腸の環境を整えるにはどうすればいいのか、筆者はまずは食事の見直しから始めようといいます。腸内環境を良好にするには、昔ながらの日本の食事が最適です。これに欠かせないのが次の食品です。

  • 日本古来の発酵食品⇒漬物、味噌汁、納豆、甘酒、鰹節など
  • 水溶性食物繊維が多く含まれる食品⇒海藻、果物、野菜、こんにゃくなど
  • 青魚⇒アジ、サンマ、イワシなど
  • 消化酵素を含む食品⇒大豆、パイナップルなど
  • 胃酸や消化酵素を刺激する食品⇒レモン、大根、大葉など
  • 白湯

このような昔ながらの日本の食事をしっかりと摂ることで、腸内環境を整えていきましょう。

次に、筆者は腸内環境を整えるために、夕食を軽くするまたは食べないということを勧めています。睡眠と消化のエネルギーの推移から考えると、朝昼夕の食事量の理想のバランスがあります。まず、朝食はふつうに、昼食はしっかりと、そして夕食は軽くもしくは食べないというのが良いと筆者はいいます。腸の健康を考えると、夜8時から朝6時までは何も食べず、腸を休ませて細胞修復の時間をつくることが大切です。夜遅い時間に食事はとらないほうがいいのですが、仕事の都合上そうせざるを得ないときは、夕方に軽く玄米おにぎりなどを食べて、夜食の量を減らすといった工夫が必要でしょう。ただ夜遅くまで働くのは、腸にも副腎にも好ましくないので、働き方を見直してほしいというのが医者としての本音だそうです。

さらに、筆者は腸内環境を整えるために、グルタミンやハーブなどを摂取することを勧めています。健康な腸のためには、腸に発生するカンジダ菌の除去が必要です。そのためには、副作用の少ない非吸収性の抗真菌剤、抗菌ハーブ、消化酵素などを用います。ガーリックやオレガノなどのハーブ、ココナッツオイルを料理に使うこともカンジダ菌の抑制に役立ちます。

栄養療法ではカンジダ菌の除菌治療で、アミノ酸であるグルタミンのサプリメントを処方します。カンジダ菌によって空いた穴もグルタミンで修復することが可能です。またグルタミンは、炎症やリーキーガットの改善に使われます。腸の細胞のエネルギー源になるほか、IgA抗体という腸粘膜の免疫の最前線にいるタンパク質をつくりだします。

※ うまみ成分グルタミン酸や調味料としてのグルタミン酸ナトリウムは、栄養療法で用いるグルタミンとは別物ですから注意してください。

次回は、副腎疲労を改善するために補いたい栄養素4選を、効率的に摂る方法などをご紹介します。

投稿者プロフィール

ほしの りか
ほしの りか
憧れを失った砂漠のような世界や心に、希望の虹をかけることが使命。
ジェネラリストタイプなので、なんでもそつなくこなします。