体を冷やすことは命を削る

この冬いちばんの寒波がきたということですが、皆さんの冷え対策は万全でしょうか?

女性の方は特に、『冷え性』の方が多いと思います。
「冷やすことは命を削ること」というぐらい恐ろしいことなのです。

では、まず冷えの悪影響をみてみましょう。

  1. 自律神経の働きが狂う
    自律神経とは、生命を保つ上で一時たりともかかすことのできない機能をコントロールしている神経のことです。
    これには、それぞれ相反する働きをもつ、交感神経副交感神経があって、バランスを大きく崩すと「自律神経失調症」になります。
  2. 血行が悪くなる
    血行が悪いと、全身の細胞の機能が低下するので、代謝も低下し、結果として体熱を産生する能力が低下していきます。

    つまり、「冷える→血行不良→細胞機能低下→代謝低下→体熱産生低下→さらに冷える」という冷えの悪循環に入ってしまいます。
  3. 免疫力が低下する
    免疫とは私達の体に入ってきた細菌やウイルスと戦う仕組みのことですが、「冷え」にはとても弱いのです。

    病原体が体内に入ってくると、体はそれに反応して体温を高め、病原体をやっつけようとします。
    しかし慢性的な「冷え」があると、免疫力がきちんと働かないので、病気が重くなったり、免疫系の病気やガンにかかったりすることがあります。

このように「冷やす」ことは「命を削る」ことになるのです。

「隠れ冷え」…あなたは大丈夫ですか?

手や足が冷えてるよ~、冷たくて眠れない…という人は勿論のことですが、実は「私は大丈夫」という人の中にも、けっこう「隠れ冷え」の人がいるのです。

たとえば、顔や上半身は熱くて汗をかくけれど体はまったくかかないという状態や、顔のほてり・のぼせ、頭痛を起こしたり…というのは冷えの症状なのです。

冷えによって自律神経の働きが狂ったため起きているのです。

また、手足がほてっていると冷えなどないように感じてしまいますが、実はこれも冷えの典型的な症状なのです。

冷えすぎると危険なので体が無理やり熱を産生している状態なのです。

それから、太っている人やお風呂でのぼせやすい人にも多いそうです。

実は私もこの「隠れ冷え」でした。

低体温で、いつも36度以下の体温の割には、寝ていても足が熱くて布団から出していました。

冷え取りの方法を実践してから正常な感覚を取り戻して、今はハッキリと冷え性だと感じています。

「隠れ冷え」…あなたは大丈夫ですか?

冷えの取り方

では、冷えをとるためには、どのようなことをしたらいいのでしょうか。

一般的に、温かいものを摂り、冷えないような恰好をするとよいと言われていますが、それだけではなかなか冷えはとれません。

そこで、効果的な冷え取りの方法を3つお伝えします。

  • 足湯
    くるぶしの上、できればふくらはぎの途中までお湯の中に入るほどの容器を用意して、温かく感じる程度のお湯(41度前後)を満たします。冷めたら「さし湯」をしながら湯温を保ち、汗ばんでくるまで行います。
  • 半身浴
    足湯より効果が高いです。
    温度を感じない程度の湯温で、胸から下だけつかる程度して20~30分ほど入浴します。

    足湯や半身浴で汗をかいたら水分補給をして、靴下やズボンなどで下半身の保温を心がけましょう。
  • 手浴
    手が冷える方におすすめです。
    手浴をする場合には、足湯や半身浴とは一緒にやらずに、温かく感じる程度の湯温で15分間だけ行います。

普段から靴下を履く、冷たい物はとらない、冷える格好をしない…などして、冷えないように心がけましょう。

気・血・水

東洋医学的な冷えは、「気・血・水」のバランスがくずれたことによります。
体の内部の機能がバランスを崩した結果、現れる症状が冷えというわけです。

では、『気・血・水』とはどのようなものかを、先にお伝えしましょう。

東洋医学では、病気の原因は、体内の成分を3つに分類する『気、血、水』によるものだとされます。

このが、とどこおりなく循環していれば健康で、不足したり、とどこおったりすると疾病になるというのが「気血水論」です。

臓器の機能を5つに分類する「五行論」と、体内の成分を3つに分類する「気血水論」の2つは相互に作用しています。(たとえば、「気」を入れるのは「肝」で、その「気」を全身にくまなく配るのが「腎」だと考えられています。)

陰陽論から言えば、気が陽で、血が陰ということになりますが、この血をさらに狭義の血(血液)と水(血液以外の体液)に分けます。

「血と水」は「気」の働きを担って、体内を循環しています。

冷え性の4つのタイプ

冷え性は『気・血・水』のバランスを崩した結果とお伝えしましたが、原因別に大きく分けると、4つのタイプに分かれます。でも、実際はいくつかのタイプが混合している人がほとんどだそうです。

  • 気虚タイプ
    気の働きのひとつに、温煦(おんく…体を温め、機能を活発化し、体温を正常に保つ)作用があります。気が不足していると、この温煦作用が弱くなり、体が冷えてしまいます。

    おもな症状:顔色が白い、全身倦怠感、むくみ、下痢、食欲不振
  • お血タイプ
    お血とは、血液の流れが悪くなり、体のいろいろなところで停滞を起こしている状態を指します。
    食事の不摂生やストレス、寒さなどが原因で体の血の流れが悪くなると、末端まで十分に血が行き渡らず手足が冷えます。

    おもな症状:顔色のくすみ、手足が冷えているのに顔はのぼせている、肩こり・腰痛、生理の異常
  • 血虚タイプ
    食事の不摂生や胃腸虚弱、ストレスなどが原因で血が不足すると、体に栄養分が行き渡らなくなり、機能が低下して寒さを感じやすくなります。
    また、血が不足することで血流が悪くなり、さらに冷えが強くなります。

    おもな症状:顔色が青白い、しもやけ、貧血、乾燥肌、めまい
  • 水滞タイプ
    冷たいものの食べ過ぎ、水分の過剰摂取、胃腸虚弱などが原因で水分代謝が悪くなると、余分な水分が体にたまり、冷えがでます。代謝を活性化して水分を排出し、体を温めることが必要です。

    おもな症状:むくみ、しびれるような痛み、鼻水、軟便傾向、重だるい感じ

自分で出来る5つの冷え性対策

足湯や半身浴は大変効果的ですが、普段から食事に気をつけたり、軽い運動やマッサージなどを取り入れたりするのが良いでしょう。

  • 食材に気をつける
    基本的に、夏の食材は体を冷やし、冬の食材は体を温めます。
    避けるべきなのは、スイカやメロン、パパイヤなどの瓜類、柿、梨、バナナ、トマトなど。
    また生野菜、特に葉菜類は体を冷やしますが、煮たり炒めたりすれば大丈夫です。

    体を温める生薬は、ショウガやシナモン、ウイキョウ、カルダモン、トウガラシなど。
    こういった生薬(香辛料)を上手に取り入れるように工夫してみてください。
  • バランスに気をつける
    冷え性で悩む人は一般に食事量が少なく、朝食をきちんととらなかったり、昼食はありあわせですませてしまうなど、普段の食事がきちんと取れていない合が多いようです。
    1日3食きちんととり、栄養のバランスを心がけましょう。
  • 鉄分・ビタミン類を多くとる
    鉄分の多いレバーや緑黄色野菜などをとり、貧血にならないようにすることも大切です。
    また、小麦胚芽や大豆・ウナギなど、血流を良くするビタミンEの豊富な食品もメニューに取り入れるようにします。
  • 体を温める飲み物を飲む
    カフェインを多く含むものは控えて、生姜湯や人参湯のような、体を温めるハーブティーなどをとるようにしましょう。
    体が冷えて寝付けないときなどは、生姜湯、ミルクココア、玉子酒、エッグノッグ(卵と牛乳と砂糖を混ぜ、ブランデーやラムを加える)などを1杯飲むと良いです。
  • ツボを刺激する
    冷えに効くツボは、以下の4つ。
    優しくもみほぐしたり、ドライヤーで温めたりすると効果的です。

    関元(かんげん):下腹部の正中線上で、おへそから下へ指4本分ぐらいのところ。
    天枢(てんすう):おへその外側、指2本分ぐらいのところ。
    次膠(じりょう):お尻の中央の平らな骨、仙骨上にある4対のくぼみの、上から2番目のくぼみ。
    陰陵泉(いんりょうせん):足の内側で、ひざの皿から指2本分くらい下のところ。